天翔橋北斗の旅々失礼します

鉄道・旅・音楽・ラジオ・気象・教育、など

DA LIVE METAVERSE 2019 Cθda Growth

初めてなものばかり

accessのライブは2007年の"binary engine"ツアーから度々参加していたものの、浅倉大介さんのソロライブとなると今回は初めて*1。しかも会場の「ヒューリックホール東京」も初めてと、初めてづくしの2019年1月20日(日)。

何を緊張していたのか、いきなり有楽町線で乗り過ごすという失態。まあ、有楽町駅と銀座一丁目駅はさほど離れておらず、「ヒューリックホール東京」がある有楽町マリオンへはなんとか徒歩でたどり着きました。

f:id:kk_solanet:20190127172612j:plain

DA LIVE METAVERSE 2019 Cθda Growth

そしてここで今度は「ホールのある11階に上がる方法」が分からずふたたび迷子に。ルミネのスタッフさんに《上層階へは別のエスカレーターがある》と教えてもらい、ようやく入場。

「ヒューリックホール東京」はライブを行うホールというより、劇場や映画館に似た雰囲気。

 今と過去とこれから、が見える音

今回、自分が一番期待していたのが、浅倉さん所有のMoogシンセサイザーの音が聞けること。

ステージに所狭しと並んだ楽器の中でも、ひときわ存在感があったのが中央やや右より奥に鎮座していた「箪笥」ことMoogのモジュラーシンセサイザー。楽器という感じはしないけど、生み出す音はまさに「怪物」。随所で使われていましたが、耳で聞くというより「体で感じる」と言った方がぴったりくるような重厚な音を出していました。

なかなか扱いの難しい楽器のようで、浅倉さんも「腕枕は難しいけど、添い寝くらいはできるようになった(それくらい仲良くなれた)」なんて言っていました。

スタッフさんからもこんなツイートが、ライブ後に。

https://twitter.com/pedal_kk/status/1086981162558320640

 

脳がざわつく感じがずっと…

ということで、ライブ中に僕の脳がざわついてしまったところをいくつか。

 騒がしい世の中で、それでも時は進む

ライブ2曲目、"DA METAVERSE"プロジェクトから"YaTa-raven chronicle"。

YaTa-raven chronicle 浅倉大介 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

ミステリアスな雰囲気の中、浅倉さんが自らヴォーカルをとるこの曲。男女ふたりによるパフォーマンスがまず印象に残りました。

黒い鳥を持った男性。あなたこなたへと視線を向けていく中で、椅子にかけ意識のない女性に気づきます。一見人形のように見えるこの女性、あるきっかけでロボットのように動き出しますが…。

なんだか男性パフォーマーが世の中のことで右往左往する現代人に、女性パフォーマーはそんなことは構わず進み続ける時間の流れを象徴しているかのようにも見えました。

Musical Chronicle

Chronicleといえば、こんなパートが。

moogシンセサイザーの前に座った浅倉さんが奏で始めたのが、ホルスト組曲『惑星』から「木星」、そしてムソルグスキーの『展覧会の絵』から「プロムナード」。

続けてピアノ(シンセサイザーによる加工付き)で激しく弾き始めたのは TM Networkの "TIME TO COUNTDOWN"のイントロ。

さらにソロ7部作(通称《虹シリーズ》)から "Quantum Mechanics Rainbow Ⅳ"(第四楽章)や "IRIS"といった楽曲、第1期access最後のシングル3部作から "SEQUENCE MEDITATION"の主題、そしてソロ作 "THE ELECTROMANCER"から"THE ELECTROMANCER(KANASHIMINO KAWAWO YOROKOBINO OKAWO)"とシンフォニックな楽曲、そして今回のライブタイトルを冠した新曲 "Cθda Growth"へと至る一連の流れは、まさにDA Sound Chronicle。

重厚な音を生み出すmoogを中心としたこのパート、今回で一番「温故知新」を感じた部分でした。

人の心の光と陰と

ライブ途中、浅倉さんがステージから姿を消し、男女2人のパフォーマンスの後ろで"Platonic Compile"と "ミスター・ディ・チリコの夢"が流れました。

明るい牧場のような映像を背景に、社交ダンスのように踊る"Platonic Compile"。

他方、陰鬱な雰囲気漂う中、男性パフォーマーが幻聴に悩むかのような演技を見せた"ミスター・ディ・チリコの夢"。

インスタ映え》とか《Buzzる》とかいう言葉が生まれ、誰もが急に有名になってしまう可能性が出てきました。一方で、きらびやかな世界にいる「芸能人」も個人としてやはり抱えてしまうものがあり、それをまた《なんちゃら砲》などとスキャンダラスに発表するのも、またしばしばある話です。

明るく楽しそうな裏に、悲しみや苦しみがある、そんな人間の真理をこの2曲の間でまた思い出したのでした。

絆と憧憬と熱望と

ライブ後半は盛り上がる楽曲が多く入っていましたが、その中でもおぉ~っとなったのは、小室哲哉浅倉大介の師弟ユニットPANDORAの"Shining Star"。女性パフォーマー「かやね」さんのかわいらしい振り付けは、まさに「輝く星」のようにステージを盛り上げていました。

浅倉さん曰く《小室さんにPANDORAの曲をやって良いかと聞いたら、ぜひ、と言われた。…小室さんも来ればいいのに…(来てくださいと)言い続けていきます》。

いくつかあるPANDORAの曲の中から、この曲を選んだ意味、ちょっと感じてしまいました。

これまでのものから、これからのものが生まれる

楽器としてはmoog以外にも、アコースティックピアノや、その音をシンセサイザーで加工して使うパートがあったり、エレクトリックギターがあったり、最新型のデジタルシンセサイザーがあったりと、新・旧の楽器が一緒になって音を生み出していました。

楽曲面では、浅倉さんソロプロジェクトの"DA METAVERSE"や、それ以前のソロアルバム等の楽曲がメインでしたが、accessの"Wild Butterfly"やIceman、小室さんとのPANDORAでの作品、そしてThe Seekerへの提供曲やTM NETWORKの楽曲など、「浅倉大介」という軸の周りにある楽曲で埋め尽くされたセットリスト。

「これまでのものから、これからのものが生まれる」、それをステージで「機材」「選曲」という形で表現していたのがこの Cθda Growthだったと思います。なにより「楽しい!」というより「ほぉ…」と聞き入ってしまい、ステージ上でのパフォーマーや映像表現からも「これはどういうことなのだろう」と考えがぐっと広がる…まさに増殖=Growthする感じがありました。いつも見ているaccessのライブとは違う、奥深い世界。また次にその扉が開くのは、いつなのだろう!

*1:DJイベントには1度だけ参加したことがあります。